『薔薇の中の貴方』 夏休み。 は日本の母親の実家に遊びに来ていた。 は親の仕事の都合でアメリカに住んでいる。 日本とアメリカでは休みの期間も違うが、 ちょうど重なるということで、 一人で遊びに来たのだ。 だいぶ遊びに来られなかったので 祖父も祖母も喜んでくれた。 それに近くに住む従姉妹も遊びに来てくれて、すごく楽しめそうだ。 ただここで遊んでいるだけなワケにもいかないので、 いろいろ手伝いをすることにした。 彼女のここでの決まった毎日のお手伝いは 家の庭にきれいに咲き乱れる薔薇に水をやること。 水遣りは朝食前の仕事。 朝露に濡れた薔薇を眺めながらはホースをとりに行った。 蛇口を捻ると勢いよく水がホースの先から飛び出す。 心地よい水の音。 そのままホースの先を薔薇へ向けた。 と、その水の先に見知らぬ少年がフェンス越しに佇んでいた。 美しい少年。 の目はその少年に奪われた。 目が離せなかった。 見つめたまま立ち尽くしてしまった。 下ろしたホースは何もない地面に水をかけ続けていた。 そんなの視線に少年は気づき唇に薄い笑みを浮かべる。 「綺麗な・・・、薔薇だね。」 そう言うと まるで満開の薔薇の中へ消えるかのように去っていった。 「?」 祖母がいつもより遅いを心配し、 呼びに来た。 「あら?あれは、お隣の周助君?」   “周助” それが彼の前らしかった。 彼女はその時の記憶はそれだけしかない。 あとは彼の微笑みと一言だけが頭にちらつくだけ・・・。 周助はあれから毎朝顔を出すようになった。 そしてそれはにとって毎朝の楽しみになっていった。 最初は 「おはよう」 の挨拶くらいしか交わすことがなかったのだが、 次第に会話が増えた。 日本のこと、アメリカのこと、お互いの好きなモノについて。 楽しい会話にや彼の人柄に惹かれていく。 しかし、二人にこれから待っているのは 別れ。 そんなことは充分な程解っているのに、 いや、 解っているからこそ朝の時間が楽しみでしょうがなかった。 「明日さ、遊園地にでも行かない?」 周助が誘ってくれた。 だがその“明日”というのはアメリカへ帰国する日。 ついに来てしまった。 周助には伝えていなかった。 「あ・・・、ごめん。明日は・・・ちょっと。」 本当のことは言えなかった。 自分が帰れなくなってしまいそうで。 「そっか。」 明日なんか来なければいいのに。 そんな思いばかりが胸をいっぱいにする。 このまま言わないで帰ればもう一生会うことはないかもしれない。 自分もすぐに忘れてしまえる。 それに明日の朝はもう薔薇の世話はできない。 これでお別れ・・・。 「じゃあ周助くん、 今日はもう朝ご飯だから・・・。バイバイ。」 はそのまま目を合わせずに帰ってしまった。 これでおしまい。 「また来るからね! それに手紙とか書くから!」 祖父母に挨拶をすませる。 二人とも別れを惜しんでくれた。 「あと・・・、周助くんにも伝えておいてもらえますか?」 がそう言うと祖母は優しく頷いた。 空港。 これでアメリカに帰れる。 家族に会えるのは嬉しいけど・・・。 寂しい。 心残りは周助の事。 やっぱりちゃんと別れを言ってくれば良かった。 「?どうしたの〜?」 送りに来てくれた従姉妹が脳天気に声を掛けた。 「ん?なんでもない。」 もう帰りようもないのだから、忘れよう。 楽しかった思い出として胸に留めるだけにして。 「!!」 そう決心した時にを呼ぶ聞き慣れた声。 周助だ。 息を切らせながら走ってきた。 「今日帰るなんて知らなかった・・・。 なにも言わないなんて・・・。」 途切れがちの息から言葉を絞り出す。 「ごめんなさい。 別れが辛かったから・・・。」 驚きの中から別れの悲しさが湧き上がってくる。 涙が出そうなのをこらえながら無理に微笑んでいた。 「僕はきっと君に会いにアメリカへ行くから、 その時アメリカを案内してくれるかな?」 息を整えると、周助は微笑みながら言った。 出会ったときと同じ笑顔。 「うん。」 「手紙とか書くから。あとこれ、 今朝一番に咲いた薔薇。持っていって。」 渡された一輪の薔薇。 周助との思い出。 「ありがとう。」 ついに涙が出てしまった。 指で拭いながらお礼を言う。 「泣かないで。必ず会いに行く。」 「!まだこんなとこにいたの?そろそろ入らないと!」 従姉妹が叫ぶ。 そしての腕を掴み、引っ張って行く。 周助の方を見てはいるものの、言う言葉が見つからず 見つめるばかり。 周助はまた優しい笑顔で手を振っていた。 「・・・待ってるから!!」 それが日本で周助と交わした最後の言葉だった。 周助くん、またね・・・。                     〜The End〜 不二先輩の夢。 この話は実はもとの話が有ったりする。 ははは!!!! 設定変えただけ。 知ってる人は知っている〜。 へへへん。 この話のBGMはね前半は“ズボンドズボン”の「朝散歩」がいいなぁ。 後半は“RAGFAIR”の「Sheサイドストーリー」と「start」のメドレー。(謎) 趣味全開。

p.s 優にはやっぱ薔薇が似合うわ!! by紫苑♪ (アハハ;)