アメリカのトライアスロンなどのコーチが毎月インターネットで配布している「Ultrafit's e-Tips」というトレーニングアドバイスに関するサイトを見つけました。2月号は下記のような記事が載っていました。この中からJoe Frielによる 「Running Economy」を紹介します。URLはhttp://www.ultrafit.com. ですので関心のある方はご覧下さい。    (訳責 青木) 

省エネ走法                    Running Economy

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省エネ走法      ジョー・フリエル

Running Economy by Joe Friel

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  10年前、ボウルダーでフランク・ショーターとビル・ロジャースと1時間ほど走る機会に恵まれた。二人とも70年代、私のあこがれの選手である。ショーターとロジャースは、それまでレース以外に一緒に走ったことが無かったということを聞いてさらに感慨深いものがあった。

もし70年代の陸上競技について多少知っている人なら彼らが当時のスター選手であったことはご存知だろう。70年代前半、彼らはロードレース界で活躍し、ショーターは72、76年のオリンピックマラソンで金、銀メダルを得、ロジャースはボストンマラソンで4回優勝している。マラソンの自己ベストタイムはショーター2:10:30、ロジャース2:09:27である。

自己ベストタイムがこのように近いので、きっと彼らの最大酸素摂取量(VO2max)はほとんど同じと思われるかもしれない。実際はかなり違う。ロジャースのVO2maxは78.5mlと非常に大きく、71.3mlのショーターに比べてずっと多くの酸素を体内に取り込むことができる。実際のところショーターの71.3mlという値は世界のトップクラス選手と比べるとかなり低いといえる。このように最大酸素摂取量の少ないショーターがいかにしてロジャースと近いタイムを出し、また25年前世界のトップクラスの選手と競い合うことが出来たのだろう?

「無駄をしなけりゃ不足は起きない(諺)」(Waste Not Want Not)

その答えは効率的な走法にあり、これこそがランニングの最大の重要なポイントである。

この2人の伝説的なランナーと一緒に走りながら、2人の走行効率がいかに違うかを感じた。ショーターはまるで雲のようになめらかに走っていた。彼は軽々と足を運び、全く無駄な動きがなかった。ロジャースは対照的に上下動が多く、片方の腕はまるでバタフライのウェイトを動かすように大きく振っていた。貴重な酸素を無駄に使わないことで、ショーターは無酸素運動にならずに効率の高い有酸素運度をすることができるのだ。このような能力はマラソンのような持久レースでは大きな利点となる。

走行効率はたとえて言えば車の燃費性能のようなものだ。1リッター当たり、より長い距離を走行できれば車の維持費は安くなる。同じようにランナーがある速度で、酸素の消費量がより少ないと、より楽に走ることが出来る。逆に、消費酸素量が一定であれば、効率のよいランナーはより早く走ることができる。走行効率を1%アップすることが出来れば10キロレースでは20秒以上のタイム短縮につながる。走行効率が3、4%アップしたらどのような結果になるか想像して見て欲しい。

研究の結果、そのような成績の改善は可能であることが分かっており、世界のトップクラスランナーでもさらに改善することも明らかになっている。数年前、アメリカの中距離走者のスティーブ・スコットが世界記録更新を目指したとき、彼は走行効率をなんと6%もアップさせたと伝えられている。

 以下に走行効率を向上させる実証済みの練習法を挙げてみる。

坂登り(Hill Bouncing) 

スウェーデンでの研究では坂道を「バウンドしながら駆け上がる」(bouncing)トレーニングで走行効率を3%上げることが判明した。このトレーニングは、3-400メートルの坂を、わざと垂直に跳ぶ動きでキックし、母指球で着地し、踵は下げながらも地面につけ無いようにしながら走るというものである。これを早いピッチで繰り返す。この場合坂を登るタイムは重要ではないので計時はしないこと。その代わり体を高く上げることに意識を集中する。下りはゆっくりと降りる。

筋力トレーニング(Strength Training)

ニューハンプシャーの大学でおこなわれた実験では、女性長距離走者が週3回のウェイトトレーニングを10週間行った。この結果走行効率を約4%上がったが、これは10キロを40分で走るランナーにとって1分以上のタイム向上を意味する。この間、被験者の体重やサイズには特に変化はなかった。

 この改善をもたらした生理学的機序は不明だが遅筋繊維の筋力向上にともなって、同じ負荷ではより少ない筋繊維が使われたことによって酸素使用量が節約されたのではないかと推定される。

この実験では人体の主要な筋肉をみな対象としたが、実際にはランニングの際に使われる筋肉の強化を行うのがよい。たとえばstep-ups、スクワット、ヒール・レイズなどである。

バイクトレーニング(Bike Training)

ユタ大学の研究では、バイクで坂道走行の反復練習によって、経験を積んだランナーのランニング走行効率を高めた。このことはバイクのトレーニングがバイクとランニングの向上につながるという二重の効果を示している。この原因として考えられるのは、ウェイトトレーニングと同様な効果で、脚の特に大腿四頭筋の強化が走行効率の向上につながったものだろう。

具体的には、サドルに腰掛けたままで90秒ほどで登れるかなり急な坂(6-8%)を使う。最初は3回から始める。週ごとに1、2回増やし、8回まで行う。登りのあと3分づつ休憩する。

トラックインターバルトレーニング(Track Repeats)

これに関する実証的研究はないが、長年200-400メートルのインターバルトレーニングはいわゆるスピードトレーニングとして行われてきた。これについても実際の結果は走行効率の向上だったと言えよう。

よくウォームアップしてから200メートルを6から16回あるいは400メートルを3から8回走る。そのときのスピードは5キロレースの際のスピードより400メートルあたり5秒早いスピードを目安とする。たとえばあなたが5キロレースで400メートルあたり90秒で走るなら(1キロ3分45秒)、400メートルを85秒で走るのである。次の走行まで走った時間の4倍、この場合は340秒(5分40秒)休息する。

ストライド(Strides)

これについても実験結果はないが、長年経験的によい結果をもたらしているトレーニング法である。30-40秒間、芝生など柔らかい地面の緩やかな下り坂(2%程度)を駆け下りる。このとき腕や顔を完全にリラックスさせて、400メートル競技と同じぐいの感じで走る。ダッシュほどスピードを出す必要はない。次に走るまで60-90秒間歩くかジョグする。この練習は芝生の上で裸足で行うと非常に良い運動になるが、ガラスなどでケガしないように気をつけること。

この練習のバリエーションとして、ストライドカウントがある。芝生の上にスタートとゴールの線を引き、歩数をカウントしながら走る。毎回1歩づつ減らして走る。6-8回行う。

坂道反復練習(Hill Reps)

この練習にも科学的な実証はないが、効果のほどは私が保証する。駆け上がるのに30秒ほどかかる坂道を見つける。いいフォームで走ることに集中して10-16回反復練習する。ダッシュするほどではないが400メーターレースと近い感覚で走る。回復のため毎回2分30秒ウォークかジョグをする。

これらの練習を1つかあるいはいくつか毎週行うことで走行効率はきっと向上するだろう。もし現在のあなたの欠点が走行効率の悪さであれば、2ヶ月以内に明らかな改善が見られるだろう。これを確かめる方法としてLT値(lactate threshold 乳酸性閾値)より10くらい低い心拍数で1マイル(1.6キロ)のタイムをとる。走行効率が向上するにつれて数秒ずつタイムの向上が見られるだろう。天候、睡眠、食事、ストレスなどの要因によって必ずしもいつもこのタイムの向上が見られないこともあることに注意する。